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公益社団法人 日本社会福祉士会 生涯研修センター

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6領域の検討過程ととらえ方について

どんな職場, 職種にいても, 社会福祉士として共通する基盤が必要であることを意識したが, それをどう形づくるかが問題となった。 当時, 国家試験に13科目があった。 これは社会福祉士に必要な 「知識」 であるが, これだけが共通基盤ではない。 さらに当時の13科目は並列的に列記されており, 科目間の関連や社会福祉士に必要な知識体系としての整理はされていなかった。

一定の専門知識の量があるだけではなく, 共有する倫理や価値, そして技術があってこそ, 専門職としての基盤が形成される。 そこで社会福祉士の実践と求められる研修ニーズを探るために実態調査を全国規模で2回にわたって実施した。 調査では, ①基本属性, ②職務の現状, ③研修に関すること, ④専門性に関すること, ⑤会活動に関することを把握した。 さらに各支部の研修担当委員とも協議を重ねるなかで, 共通基盤の輪郭を形づくっていった。
その過程を振り返ると, まさに社会福祉士の共通基盤とは, 理念的に示された 「あるべき像」 ではなく, 資格を有したものの多様な実践をしている状態にあった会員たちが, 自ら共有する価値・知識・技術の 「共通項」 であり, かつ将来的に研修を通して獲得したいとした 「目標」 である。

よって, 6領域とは知識体系としての 「科目」 ではない。 むしろ実践の場面では複合的にそれぞれが重なり合っていることが多い。 そこに込められている価値・知識・技術を含みながら, 研修内容として構造的にわかりやすくしたものが 「領域」 という考え方である。 よって6領域の一つひとつを, 縦割りの科目のように研修してしまうことは避けなければならない。 あくまでも私たちが学ぶことは共通基盤としての価値・知識・技術なのである。 換言すれば, このテキストの内容は社会福祉士として身につけていなければならない基準なのである。 それゆえにテキストだけを読んで理解するのではなく, このことを自らの日常の実践に照らしたり, 社会福祉士同士で議論したり演習を通して身につけていくことが望ましい。

当初考えられた6領域は, 「福祉権利」 「生活構造」 「対人援助」 「地域福祉」 「福祉経営」 「実践研究」 であった。 しかしこれまでテキストを改訂する都度, 内容について検証・検討を重ね, 『社会福祉士がとらえる 「権利擁護」 「生活構造」 「相談援助」 「地域支援」 「福祉経営」 「実践研究」』 となるに至っている。 もちろん今後も時代の要請や福祉ニーズの変化によって, 内容は進化していくであろう。 場合によっては領域の数も変わってくるかもしれない。 大切なことは6という数にこだわることではない。 社会福祉士が共通基盤として何をどのように学ばなければならないか, そのことを意識して, 一人ひとりの社会福祉士が研修を積み上げていくことである。

そうした背景と意義を踏まえて, 6領域とは 「社会福祉士の実践力を担保するための価値・知識・技術の共通基盤である」 と定義している。

 

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