会長ごあいさつ
2025年6月21日、第37回通常総会後の臨時理事会において、日本社会福祉士会会長に選任されました山下です。西島前会長より引き継ぎ、第10代目会長となります。
私は、東日本大震災の翌年の2012年から、コロナ感染症が広がりを見せる2020年までの9年間、神奈川県社会福祉士会会長を務めていました。その後、日本社会福祉士会の理事を2期4年務めたのち、このたび日本社会福祉士会の会長という重責を担うこととなり、身の引き締まる思いです。
さて、本年我が国は戦後80年という大きな節目を迎えました。戦争という悲惨な経験を経て築き上げてきた平和と福祉の礎を、私たち社会福祉士は改めて胸に刻み、誰もが安心して暮らせる「地域共生社会」の実現に向け、専門職としての使命を果たしていかなくてはなりません。そして人権が保障されるソーシャルワーク実践を私たちが創り上げていく必要があります。
世界に目を向けると、戦争や紛争、内戦などが続き、兵士が殺され、市民が巻き込まれ、子どもや障がい者などが次々と命を奪われています。2024年の世界における犠牲者数は15万人を超えるとの報告もありますが、この数字の中には一人ひとりの生活があります。家族がいます。未来があります。様ざまな背景を持った一つの命があることを忘れてはなりません。命は平等です。私たちは国際連帯の中、国際ソーシャルワーカー連盟としての発信力を高めていくことが重要です。
国内に目を向けると、命や権利、暮らしは守られているのでしょうか。地域の中で孤立し、一人で悩み、困難を抱えている方がたがいます。そして、現在の日本の社会福祉を巡る政策的な課題は、65歳以上人口が3割を占めるとされている、いわゆる2040年問題です。人材不足、社会保障費の増加、高齢者の孤立などの課題があり、追い詰められた高齢者の犯罪などの課題もあります。一方で子ども家庭分野の課題に対応するためこども家庭ソーシャルワーカー認定資格制度も始まりました。
このように地域の中には複雑な課題が絡み合っていますが、私たち社会福祉士は、一人ひとりが豊かに楽しくその人らしい人生を送ることができるよう人権と権利を擁護していきます。また、人と人をつなぎ、人と地域、人と社会をつなぎ、安心して暮らしていける包摂的な社会を目指していきます。ソーシャルワーク専門職である社会福祉士が力を発揮できる分野です。
私は、現場から未来へつなぎ、福祉の力を信じてすべての人が尊重される社会を創るため、皆さまと共に力強く歩んで参ります。そして、日本社会福祉士会がこれまで築き上げてきたものを大切にしつつ、時代の変化や社会の多様なニーズに応えるべく、新しい視点と活力をもって取り組む所存です。私たち日本社会福祉士会は持てる力をすべて結集し、福祉専門職としての使命を果たして参ります。
今後とも、ご支援とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
公益社団法人日本社会福祉士会
会長 山下 康