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公益社団法人 日本社会福祉士会

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設立宣言

新しい時代は、新しい人を必要とする。
今日わが国は、新しい価値基準を求めて流動化している国際社会の中で、国民がかつて経験したことのない不確実な時代と社会に突入し、次のあるべき社会の姿を模索している。

時代展望の不透明性、自然破壊、飢餓と飽食のアンバランス、戦争・暴力といった地球規模の問題から、市民社会における排他的利己主義の浸透、「無関心」による非人間化の進行、機械文明への過度の依存、個人生活における精神性・倫理性の低下、人間関係の希薄化、といった諸問題を、国際社会もわが国も抱えている。

加えてわが国では、超高齢社会を目前に控え、出生率の低下と労働力不足、家庭及び地域の養護力・介護力の弱体化や、又市民性と権利意識の未成熟などの諸問題を抱え、さらに多様化した生活様式と価値観の中で「真の豊かさ」を見失っているという状況がある。

こうした状況にあって、社会と家族及び個人を、地域と生活の両面から支えていこうとする社会福祉の課題は大きく重い。それは、平和と人権と人格の確立を心から願い、全ての人々に温かいまなざしをむける人間尊重の思想を根本に置き、労働能力のみで人間を見ないという「有用性からの解放」の視点に立って、全ての人々の変化と発達の可能性を信じ、全人間的な視点から社会福祉実践を行うことを目標とする我々社会福祉専門職の課題でもある。

我々社会福祉専門職は、全ての人々のより人間らしい「生活の質」(QOL)をめざした生存権と生活権の保障を基礎とし、住宅・労働・教育・保険・医療などの分野と連携しつつ、人々の社会生活上の基本的ニーズの充足を試み、社会的、インテグレーション(統合)と、あらゆるところでのノーマライゼーションの推進・達成を図り、そして「人間尊重」を第一義とする平和で人間らしい生活を営むことができる福祉社会の実現のために、援助を必要とする人々を支えようと努力する。

こうした時代の状況と課題の中で、国家資格「社会福祉士」が、社会の要請に応じて、1987年5月26日、「社会福祉士及び介護福祉士法」(法律第30号)によって法制化され、5年が経過した。

そしてその合格者数は、1960名に達して、我が国最大の社会福祉専門職(ソーシャルワーカー)の団体となることが予測されている。その社会福祉士は、前述したような世界と我が国の種々の課題への対応、並びに社会福祉の増進と向上に貢献することを、自らの責務として自覚する。

社会福祉士は、社会と制度の改革を基盤に、人と環境の相互作用の中に生じる社会的、障害を中心的課題として、社会資源の活用と改革を行いつつ、次のような援助を行いたいと願う。

我々社会福祉士は、援助を必要としている人々の共感的理解と受容を「傾聴愛」をもって行い、それらの人々の変化と可能性に対する信頼を持ち、当事者の「対処能力」の強化を支援し、その自立を側面的に援助し、全ての人々の自己実現への努力を援助する。

「社会福祉士」は、我が国の社会福祉にとって不可欠な存在として育ちつつある。
この資格の重要な意義は、「援助を必要とする人々の生活と人権を擁護すること、そのために社会的発言力を強化すること」にある。またわれわれは、専門ソーシャルワーカーのサービスを高度で公平なものと保証するたにも、公的資格を有効なものとして生かさなければならない。

従って、この資格を持つソーシャルワーカーの組織である日本社会福祉士会の目的は、「ひとびとの要求に答えることのできる社会福祉専門職団体としての専門性と実力の向上」にある。又全てのソーシャルワーカーが安定して実践を行うことができるためにも、その社会的地位の向上を図り、保険・医療・教育等の関連分野の専門職と連携しつつ、社会福祉専門職の中核として社会福祉士が団結することが、急務となってきている。

我々「社会福祉士」は、次のように願う。
我々は闘う、全ての人々のより良き生活のために。
我々は憎む、非人間的な社会を。
我々は愛する、全てのかけがえのない人々を。
我々は援助する、謙虚な心と精一杯の努力をもって。
そのために我々は、明るい、さわやかな、実力を持った、柔軟で民主的な専門職集団を結成したいと心より願う。

ここに我々「社会福祉士」は、自ら負わされた課題と役割の重大さを深く認識し、先に述べた願いを果たす決意をもって、「日本社会福祉士会」の設立を宣言する。

1993年1月15日
日本社会福祉士会